IBM BladeCenterの互換性

なんとなくカテゴリーを作ってしまったので、IBM BladeCenterについて思うことを書き連ねていこうかと思っています。
今やサーバー・ハードウェア・ベンダーでブレード・サーバーをラインナップ/ポートフォリオに含めていないところはありません。IBMは世界シェアNo.1を既に4年以上続けていますが、IBM以外のベンダーも必死でIBMを追っています。
その最大のコンペティターといえばHPです。HPは2002年にBladeSystem e-Class、2004年にBladeSystem p-Class、そして昨年2006年にBladeSystem c-Classを発表し、なんとかIBMの牙城を崩そうと必死にプロモーションしています。
またDellPowerEdgeシリーズに1855、1955と連なるブレード・シャーシとサーバーをリリースしています。
Dellはこれまでの動きを見る限りでは、あまり真剣にブレード市場に投資しているように見えません。PowerEdge 1955にしてもハードウェアはOEM供給らしく、富士通のBX600 S2シャーシと同じものに見えます。自社のアーキテクチャーを持たないDellらしいと言ってしまえばそれまでですが、OEMに頼らざるをえないベンダーの場合、そのシャーシの継続提供に一抹の不安を感じるのは私だけではないでしょう。
シャーシの継続的な供給という観点では、BladeCenterは先のエントリーで書いたように、完全に互換性を持ったアーキテクチャーを継続し続け、それをIBMがコミットしていることを評価したいのです。私はブレード・サーバーのシャーシ/エンクロージャーと呼ばれる筐体は、所謂サーバー・ラックと同じような性格を持つ製品だと思っています。業界標準のEIA-310-Dのラックに入らないサーバーはほとんどありませんし、ネットワーク・スイッチも同様です。ですからユーザーは安心して、一度買ったラックを使いまわし、導入時期がずれるのが当たり前のサーバーを、同じラックにインストールすることができるのです。対してブレード・サーバーの世界では、IBM以外のベンダーはシャーシ/エンクロージャーを2年から3年単位に刷新するのが慣例になっています。シャーシが新しくなるとプロセッサー・ブレードとスイッチ・ブレードの互換性がなくなり、新しいシャーシにこれまで使っていたサーバーやスイッチを移設することは不可能になります。これを普通のラックに置き換えて考えれば、信じられないことです。サーバーがリース切れなどで更新される場合でも、サーバー・ファームで使っているネットワーク・スイッチを同じタイミングで前面刷新するなど聞いたことがありません。ましてやサーバーは1台当たり数十万で購入できますが、EthernetスイッチやSANのスイッチについては購入価格が一桁違います。サーバーのリプレースで価格がサーバーの数倍〜十倍のスイッチまで足を引っ張られて買わされるのではたまったものではありません。この感覚を共有させてくれるのがIBMBladeCenterなのです。BladeCenterではハードウェアの設計を一部一般公開し、パートナーと共有することで互換性を保ってきました。
http://www.ibm.com/systems/jp/bladecenter/open_specs.shtml
IBM Corporationのエクゼクティブがアーキテクチャーの互換性をコミットしていることも安心材料です。

HPは先に紹介した3世代のエンクロージャー間で、互換性がないという致命的な欠点があります。2004年に買ったラックに、2007年の最新サーバーが格納できず、リース切れを迎えたサーバーのリプレースと同時にSANやEthernetのスイッチまで入れ換えなければならず、ネットワーク設計を含むインフラの刷新を強要されるという、信じられないことが起きているのです。これはNEC富士通など、以前からブレード・サーバーを出荷しているベンダー共通で言える事で、こういった悪しき伝統はブレード・サーバーへの投資を阻害し、エンドユーザーがブレード・サーバーの利便性を享受する機会を減らす原因になります。
アーキテクチャーの高い互換性は、私がIBM BladeCenterを好きな理由の一つです。