IBM BladeCenterが持つ電源経路冗長性

IBM BladeCenterは電源経路まで冗長性を持つという点で、他の競合企業ブレード・サーバーにない特徴があるということを過去のエントリーでも触れたことがあります。
しかしHP社はセミナーなどで「HP BladeSystem c-Classのバックプレーン(の電源経路)は板給電と呼ばれる頑強な設計のため壊れない、よって可用性の観点では問題ない」という意味の説明をしています。（私自身も市ヶ谷で実施しているセミナーで耳にしました。）
メーカー間の主張という意味で、どちらが正しいという問題ではないとは思いますが、ミッドプレーン（バックプレーン）が壊れる壊れないではなく、シャーシ/エンクロージャー全体に障害が及ぶ可能性があるのかないのかといった観点でHP社の主張はどこまで信用してよいのか、ミッドプレーンが壊れなければ、全体障害の可能性はないと言えるのかという疑問は以前からあったのです。
その疑問が今週、解消されました。
HP c7000 Power Supply Replacement Program
このサイトは日本語で、c7000のパワーサプライの交換を促すページになっています。ところがどんなに日本語で探しても、このパワーサプライを交換しないと、なにが起きるのか書かれていません。おかしいなと思っていろいろ確認して見たところ、US IBMでページに下記の記述を見つけました。

As a matter of fact, HP recently published a document in which they admit this significant single point of failure in the C3000/C7000 Blades chassis - and a specific power supply issue. In the document, HP admits that the power supply failure would result in an unplanned shutdown of the enclosure, despite power supply redundancy, and render the enclosure inoperable. Here is a link to the full release:

Advisory: CUSTOMER ACTION REQUIRED to Identify and Replace Certain HP BladeSystem c7000 Enclosure Power Supplies that May Experience an Extremely Rare Issue Resulting in Power Supply Failure - c01519680 - HP Business Support Center
リンク先のHP社のページには、確かに特定のパワーサプライを使っていると、まれにエンクロージャー全体の障害につながるということが書かれています。

HP has identified a potential, yet extremely rare issue with HP BladeSystem c7000 Enclosure 2250W Hot-Plug Power Supplies manufactured prior to March 20, 2008. This issue is extremely rare; however, if it does occur, the power supply may fail and this may result in the unplanned shutdown of the enclosure, despite redundancy, and the enclosure may become inoperable.

これは問題となるパワーサプライの特定方法から見て、先に紹介した日本HP社のサイトと同じ障害に言及しているものであり、日本語のリソースではその障害内容が記載されていないことから、日本HPがこれを隠したいのだなという意図を感じます。
少なくともHP社が主張する「BladeSystem c-Classは可用性という観点で、設計上の懸念がない」という考え方は信頼性に欠けるということがはっきりしたので、BladeCenter贔屓としては、すっきりしたのでした。