BladeCenter Sの正式発表

日本IBMが小型ブレードサーバ製品投入、ストレージ統合が特徴 @IT
日本での正式発表がなされていなかったSが発表されていました。
出荷開始は年内ということですが、実際に多くのユーザーが入手できるのは来年初頭以降になるのでしょうか。
しかしIT系マスコミ各社の記事を見ると、あちこちに間違いが見受けられます。おそらく製品の狙いが十分に理解されていないことも原因の一つでしょう。
BladeCenterシリーズはこのSで5種類目のシャーシになるのですが、すべてが現行製品です。どう使い分けるかをイメージできる発表になっていなかったのかもしれませんね。搭載できるサーバーの台数が違うのに、BladeCenter EとSの間の消費電力を比べている記事までありました。
基本的には100V対応/オフィス内設置可能というのが主なメッセージです。
競合他社製品との明らかな違いは、騒音レベルももちろんですが、100V 15A電源4本で完全に動作することでしょうね。20Aの回路なら2つで済みそうです。HPのc3000では最大6本の電源コードが出ますし、サーバー8台も詰め込もうとした結果、一つのエンクロージャーによる騒音も消費電力も大きくなっています。
また、BladeCenter Sに装着できるSASのDisk Storage Module(DSM)は、その活用の仕方が理解できれば、一般的なマシンルームでの利用を想定しても十分メリットがあります。安価にDisklessサーバーを組むことができ、サーバー・モジュールからスピンドルを廃することができるのは、大きいでしょう。これまでFibreChannelやiSCSIによるSANしか実質選択肢のなかったSAN Bootに近い運用がシャーシ内で完結した形ながらSAS/SATAの安価なHDDで行えることに等しいですから。
(なお、SAS拡張カード+DSMで可能なRAIDは0/1/1Eが正解のようです。RAID 10という記事は恐らく誤り)
7台以上のサーバーの集約が必要な場合は、経路冗長性やデンシティ、200Vハイボルテージによる電力利用効率の高さを誇る、BladeCenter EやBladeCenter Hの出番となります。ここのすみわけが理解できていないと、BladeCenter Sの活用方法を見誤るんじゃないでしょうか。